しゃぶ葉で、配膳ロボが運んでいる高い肉を別の客が取ってしまうケースがXで話題になっています。
とくに注目されているのが、安いコースを利用している客が、本来は注文できない肉を取ってしまう問題です。
もちろん、意図的な横取りなら客側のマナーが問われるでしょう。
しかし今回の話を見ていると、それだけでは片づけられない問題も見えてきました。
人の善意を前提に配膳を自動化することには、どんな弱点があるのでしょうか?
横取りが起きる仕組みから、「マナー頼み」の運営の限界、利用客ができる対策まで見ていきます。
しゃぶ葉で高い肉の横取りが話題に
しゃぶ葉の配膳ロボをめぐり、SNSで注目を集めているのが「注文した肉が届かない」というトラブルです。
今回話題になった投稿では、夕食時に注文した肉がなかなか届かず、約15分待つことになったといいます。
さらに、肉が載っていない状態の猫型配膳ロボが3回連続でやって来たとのこと。
さすがにおかしいと感じて店員を呼び、最終的には肉を直接持ってきてもらったそうです。
投稿では「履歴上では1人で80皿注文したことになってる」とも書かれており、かなり異様な状況だったことが伝わってきます。
しゃぶ葉では、食べ放題のコースによって注文できる肉の種類が異なります。
そのため、上位コースの客が注文した肉を別の客が取ってしまえば、本来注文した人のもとには届きません。
ただし、SNS上で語られている個々のケースについて、すべてが意図的な横取りだったと断定することはできないでしょう。
配膳ロボの棚を間違えたり、自分の注文だと思って取ったりする可能性も考えられるからです。
とはいえ、注文履歴には残っているのに商品が届かないとなれば、利用客にとっては困った話ですよね。
配膳ロボは人手不足への対応や、スタッフの負担軽減につながる便利な存在です。
一方で、客自身が料理を受け取る仕組みならではの弱点も、今回の問題から見えてきました。
おすすめ記事:複数企業から漏れた個人情報はダークウェブで統合される?名寄せの危険性を調査
配膳ロボから肉が消える仕組みとは?
では、なぜ別の客が配膳ロボから肉を取れてしまうのでしょうか。
しゃぶ葉などで使われている猫型配膳ロボには、料理を載せる複数の棚があります。
一度に複数のテーブルへ料理を運べるため、店員が一皿ずつ運ぶより効率的です。
しゃぶ葉では、「青く光っている棚の肉を取る」という仕組みになっています。
自分のテーブルにロボが到着したら、青く光っている棚から料理を取るというわけですね。
ところが、この「客自身が棚から料理を取る」という部分がポイントになります。
店員が「こちらがお客様の注文です」と、一人ひとりに直接手渡しているわけではありません。
そのため、報告されているケースには大きく分けて二つのパターンが考えられます。
一つは、別のテーブルへ向かうロボから途中で肉を取ってしまうケースです。
そしてもう一つが、自分のテーブルに止まったロボから、本来自分のコースでは注文できない肉まで取ってしまうケースです。
ロボには複数のテーブルへ届ける料理を載せられるため、自分のものではない棚から取れば、次の客に届くはずだった料理がなくなってしまいます。
また、肉は種類が違っても、皿に盛られた状態では似て見えることがあります。
初めて利用する人なら、どれを取ればいいのか迷うこともあるでしょう。
だからこそ重要なのが、青く光っている棚だけから肉を取ることです。
配膳ロボは「客が正しい棚から、自分の料理だけを取ってくれる」という前提で成り立っています。
店員による配膳なら、誰に何を渡したのかをその場で確認できます。
一方、ロボットでは配送の一部を機械に任せ、最後の受け取りを利用客自身に委ねています。
効率化という意味では非常に合理的です。
しかし、悪意のある行動や取り間違いまで完全に防げるわけではありません。
配膳ロボの便利さと引き換えに、それまで店員が担っていた「確認」という仕事の一部を、利用客のマナーに任せているともいえそうです。
横取りは客のマナーだけの問題なのか
他人が注文した肉を意図的に取ったのであれば、まず問われるべきなのは取った側の行動でしょう。
「高い肉が食べたいから」「取っても分からないから」と故意に持っていくのであれば、単なる取り間違いとは話が違います。
その意味では、「客のマナーの問題では?」という意見が出るのも自然です。
しかし、店舗を運営する側の視点に立つと、マナーだけに原因を求めても問題は解決しません。
100人のうち99人がルールを守っていても、1人が繰り返し他人の料理を取れば、複数のテーブルでトラブルが発生する可能性があるからです。
さらに厄介なのは、故意なのか単なる間違いなのか、その場では判断しにくいことです。
「自分の肉だと思った」と言われれば、店側も簡単には決めつけられないでしょう。
そして被害を受けた客から「注文した肉が来ません」と申告があれば、スタッフによる確認が必要になります。
状況によっては、料理をあらためて用意する対応も必要になるでしょう。
ここで少し皮肉な状況が生まれます。
本来、配膳ロボはスタッフの負担を減らし、店舗を効率よく回すために導入されているはずです。
ところが、横取りや取り間違いが頻繁に起きれば、スタッフが確認や再配膳に追われます。
「ロボットに任せたはずなのに、結局は人間がフォローする」という状態になってしまうわけですね。
しかも、きちんとルールを守っている客ほど、肉が届くまで待たされてしまいます。
問題を起こした人ではなく、何もしていない人に待ち時間という負担が発生するのは考えものです。
だからこそ、今回の問題は「最近の客はマナーが悪い」で終わらせるだけでは解決しません。
利用者のモラルは当然必要です。
同時に、一定数のミスやルール違反が発生しても、サービス全体が崩れない仕組みも必要になってきます。
配膳ロボに見えた「善意頼み」の限界
今回のしゃぶ葉の問題で興味深いのは、配膳ロボだけに限った話ではないことです。
セルフレジ、無人販売所、回転寿司など、現在の日本には利用客の善意やマナーによって成り立っているサービスが数多くあります。
こうした仕組みは、大多数の人がルールを守る環境では非常に効率的です。
細かな監視や確認を減らせるため、店側は人手を抑えられ、客側も気軽にサービスを利用できます。
ところが、その前提を守らない人が出てくると、一気に弱点が表面化します。
無人販売所で商品だけ持っていく人がいれば、監視や防犯対策が必要になります。
セルフレジで精算漏れが続けば、スタッフによる確認を増やす必要が出てくるでしょう。
配膳ロボも同じです。
「青く光っている棚から、自分の料理だけを取る」というルールが守られなければ、店側は新しい対策を考えなければなりません。
ここで重要なのは、「人の善意を信用するな」という話ではないでしょう。
むしろ、善意がなくても簡単には悪用できず、うっかり間違えてもトラブルになりにくい仕組みにすることが求められます。
たとえば、対象となる棚をさらに分かりやすくしたり、料理やコースによって識別しやすくしたりする方法が考えられます。
さらに技術が進めば、重量センサーなどを利用して、想定外のタイミングで料理が取られたことを検知する仕組みも考えられるでしょう。
ただし、こうした対策が実際に導入されるかどうかは別の話です。
コストや店舗オペレーションとの兼ね合いもあります。
「マナーの悪い人がいるから仕方ない」で終わらせず、少数のルール違反があっても普通の客が不利益を受けにくい仕組みに変えていく。
省人化が進む飲食店では、そんな考え方がこれまで以上に重要になりそうです。
もし横取りされたら?客ができる対策
では、実際にしゃぶ葉を利用していて「注文した肉が来ない」と感じたら、どうすればよいのでしょうか。
まず大切なのは、長時間そのまま待ち続けないことです。
- 注文履歴には表示されているのに肉が届かない。
- 配膳ロボが来たのに、自分が注文した料理が載っていない。
こうした違和感があれば、スタッフに確認してもらうのが確実でしょう。
今回話題になった投稿でも、肉が約15分届かず、肉のない猫型ロボが3回続いたため、店員を呼んで直接対応してもらったとされています。
同じような状況なら、「誰かに横取りされた」と自分で犯人を探す必要はありません。
他の客に直接声をかければ、かえってトラブルになる可能性があります。
「注文履歴にはあるのですが、肉が届いていません」とスタッフに伝え、確認してもらうのが無難です。
また、自分が取り間違える側にならないことも重要でしょう。
配膳ロボが自分のテーブルに来たからといって、載っている料理すべてが自分の注文とは限りません。
基本となるのは、青く光っている棚の肉だけを取ることです。
光っていない棚の料理には手を出さず、迷った場合にはスタッフへ確認するのが安心ですね。
子どもと一緒に利用している場合などは、大人が確認して料理を取るようにすると間違いを減らせそうです。
そして、明らかに注文した料理が届かない場合には遠慮せずスタッフへ。
配膳ロボが普及しても、トラブルまで客だけで解決する必要はありません。
「異常があれば人に任せる」ことも、配膳ロボを利用するうえで大切な対策です。
便利なシステムだからこそ、客側も正しい取り方を守り、問題が起きたときには早めにスタッフへ伝える。
それが、配膳ロボのある飲食店を気持ちよく利用するための現実的な方法といえそうです。

コメント