近年、セクシュアルマイノリティであることを自ら公表する著名人が、国内外で少しずつ増えています。
芸能界だけでなく、音楽やスポーツなどさまざまな分野で活躍する人が、自身の言葉でセクシュアリティについて語るようになりました。
では、これまでどのような有名人が公表してきたのでしょうか?
日本・海外の著名人を紹介するとともに、こうした公表がセクシュアルマイノリティの人たちに与える影響についても見ていきます。
セクシュアルマイノリティを公表した日本の著名人
日本でも、セクシュアルマイノリティであることを公表して活動する著名人は少なくありません。
その一人として広く知られているのが、タレントのマツコ・デラックスさんです。
テレビ番組など幅広い分野で長年活躍し、自身のセクシュアリティについても公に語ってきました。
また、音楽グループAAAのメンバーとして活動してきた與真司郎さんも、2023年にゲイであることを公表しています。
與さんはファンを前に自らの言葉で伝え、これまで抱えてきた葛藤などについても語りました。
公表後もアーティストとして活動を続けており、その発信は大きな注目を集めています。
スポーツ界では、元バレーボール選手の滝沢ななえさんが、引退後に女性と交際していることを公表しました。
現役時代には自身のセクシュアリティについて周囲に伝えられなかった経験なども明かしています。
元なでしこジャパンの山崎円美さんも、自身の性別について公表したアスリートの一人です。
山崎さんは現役時代、アルビレックス新潟レディースや大宮アルディージャVENTUSなどでプレーし、日本女子代表にも選出されました。
2023年に現役を引退した後、戸籍上の性別を女性から男性へ変更し、女性と結婚したことを自身のInstagramで公表しています。
山崎さんは幼い頃から、自分自身を男性として認識していたと語っています。
参考:Yahoo!ニュース「元なでしこジャパン・山崎円美さん 男性に性別変更して結婚→妻の妊娠経緯を明かす 幸せ3ショット披露」
ほかにも、タレントの一ノ瀬文香さん、カズレーザーさん、日本文学研究者のロバート・キャンベルさんなど、自身のセクシュアリティについて公表している著名人がいます。
歌手の宇多田ヒカルさんは、2021年に自身がノンバイナリーであることを明らかにしました。
それぞれ公表した時期や背景、伝え方は異なります。
それでも、テレビや音楽、スポーツなど多くの人が目にする世界で当事者が存在を語ることは、セクシュアルマイノリティを身近に感じるきっかけの一つになっているのではないでしょうか。
セクシュアルマイノリティを公表した海外の著名人
海外に目を向けると、セクシュアルマイノリティであることを公表している著名人はさらに多くいます。
音楽界を代表する存在の一人が、イギリス出身の歌手エルトン・ジョンさんです。
自身のセクシュアリティを公にしながら世界的なアーティストとして長年活動し、同性パートナーとの結婚でも知られています。
アメリカの音楽界では、レディー・ガガさんがバイセクシュアルであることを公表しています。
LGBTQ+コミュニティーへの支持を積極的に発信してきた著名人としても知られる存在です。
ラッパーのリル・ナズ・Xさんも、ゲイであることを公表しているアーティストの一人。
世界的に注目を集める中で自身のセクシュアリティについて明かし、その後も音楽活動を続けています。
俳優では、エリオット・ペイジさんが2020年にトランスジェンダーであることを公表しました。
自身の名前や代名詞について伝えたことは世界各国で報じられ、大きな注目を集めました。
テレビ界では、エレン・デジェネレスさんも有名です。
1997年にレズビアンであることを公表しており、当時のアメリカ社会でも大きな話題となりました。
スポーツ界にも公表した選手がいます。
イギリスの飛び込み選手トム・デイリーさんは、男性との交際を公表した後、同性パートナーと結婚しています。
サッカー界では、アメリカ女子代表として活躍したメーガン・ラピノーさんが自身がレズビアンであることを公表してきました。
このように海外では、音楽、映画、テレビ、スポーツなど幅広いジャンルでセクシュアルマイノリティの著名人が活動しています。
ただし、公表することが当然というわけではありません。
セクシュアリティは極めて個人的な情報であり、誰に、いつ、どこまで伝えるのかは本人が決めることです。
有名人だから公表すべきというものでもなく、公表しないという選択も同じように尊重される必要があります。
その前提があるからこそ、自ら公表することを選び、自分の経験や思いを発信した著名人の存在が社会で注目されているのでしょう。
著名人の公表がセクシュアルマイノリティに与える影響
著名人がセクシュアルマイノリティであることを公表すると、「同じ境遇の人にとって大きな支えになるのでは?」と感じる人もいるでしょう。
実際、LGBTQ+の若者を対象とした海外の調査では、自殺念慮や自殺未遂を経験する割合が、異性愛者やシスジェンダーの同世代と比べて高い傾向が報告されています。
日本のLGBTQ+の若者を対象にした調査でも、深刻な生きづらさを抱えている人が一定数存在することが示されています。
ただし、ここで注意したいのは「セクシュアルマイノリティであることそのもの」が苦しさの原因だと単純に考えないことです。
研究などでは、差別や偏見、いじめ、家族からの拒絶、周囲に相談しづらい環境といった「マイノリティストレス」が心理的な負担につながることが指摘されています。
自分と同じセクシュアリティの人が身近にいない場合、「こんなことで悩んでいるのは自分だけなのでは」と孤立してしまうこともあるかもしれません。
そんなとき、テレビや音楽、スポーツなどで活躍している著名人が自分のセクシュアリティについて語る姿は、一つのロールモデルになり得ます。
「自分だけではない」と知るきっかけになるからです。
セクシュアリティだけでその人のすべてが決まるわけではなく、一人の人間として変わらず歩んでいく。
その姿そのものが、同じような悩みを抱えている人にとって安心材料になる可能性があります。
一方で、著名人一人の公表だけですべての問題が解決するわけではありません。
学校や職場、スポーツチーム、そして家庭など、日常生活の中で安心して過ごせる環境があることも非常に重要です。
著名人が自分らしく生きる姿を見せること。
そして、公表する人も公表しない人も、それぞれの選択が尊重されること。
セクシュアルマイノリティの著名人が可視化されていく中で、私たちの社会にもそうした受け止め方が求められているのかもしれません。

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