副首都に指定されると、私たちの暮らしはどう変わるの?と気になりますよね。
私の住んでいる北海道も副首都候補なので、災害時以外にも何かあるの?と思っています。
最初に結論を示すと、ある地域が副首都に指定されても、そこで暮らす人の生活がすぐに大きく変わるわけではないそうです。
副首都の整備に関する法律は2026年7月に成立し、10月30日に施行されました。
ただ、どの道府県が指定されるのか、指定後に国が何をどこまで整備するのかは、これから決まります。
もし大地震などで東京が動かなくなったら、国の政治や行政はどこが支えるのか。
副首都はこの問いに答えるための仕組みですが、目的としては経済の成長や人口・経済機能の分散も含まれています。
法律で決まったことと、候補地の動き、暮らしや災害対策との関わりを順に整理します。
副首都法が施行|指定はこれから 暮らしはすぐには変わらない
「副首都」構想関連法 きょう施行 4道府県でも検討・調整へ https://t.co/BVQL1iPMnZ #nhk_news
— NHKニュース (@nhk_news) October 29, 2026
副首都の根拠となるのは、「国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律」(令和8年法律第78号)です。
参考:e-Gov 法令検索
第221回特別国会で成立し、施行期日を定める政令と推進本部の組織を定める本部令が10月23日に、指定要件などを定める施行令が10月27日に閣議決定されました。
施行日は10月30日です。

これで副首都は「構想」から「法律に基づく制度」へと進んだことになります。
とはいえ、現在は指定手続きの入口に立った段階です。
指定は道府県からの申出を受けて行われる仕組みで、候補となっている各道府県は申出に向けた準備を進めていると報じられています。
指定後に行われる国の施策も、今後つくられる基本方針や、副首都ごとの整備方針で具体化されます。
生活への影響を考えるときは、こうした段階を踏む制度だという点を押さえておくと、ニュースもわかりやすいですね。
そもそも副首都構想とは?なぜ今、法律ができたのか
そもそも法律では、副首都を、大規模災害で東京圏の首都機能の維持が難しくなったときに「必要に応じて、一定期間、首都中枢機能の全部又は大部分を代替する機能を担う」役割があります。
さらに、多極分散型経済圏の形成の中核も担う道府県と定めています。ここでいう多極分散型経済圏とは、簡単にいえば、人口や経済の機能が特定の地域に偏らず、国土全体に適正に配置され、各地域が連携しながら発展している状態を指します。
簡単にいうと、東京一極集中を防いで、各地域で発展できるようにしようということです。
法律の第2条第4項は、副首都を次のように定めています。
この法律において「副首都」とは、大規模災害が発生し、東京圏において首都中枢機能を維持することが困難となった場合に、必要に応じて、一定期間、首都中枢機能の全部又は大部分を代替する機能を担うとともに、多極分散型経済圏の形成の中核となる機能をも担う道府県として、第十八条第一項の規定により指定された道府県をいう。
引用:国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律(令和八年法律第七十八号)(eLAWS.JP)
でもこれって首都機能移転とは何が違うのでしょうか。
国土交通省の報告によると、首都機能移転とは、政治や行政、司法の中心となる機能を東京から別の地域に移すことです。
一方、副首都は、災害などの非常時に、東京の首都機能を一時的に代わって担う役割があります。
また、地方分権は、国と地方の役割を見直し、地域が自分たちで判断できる仕組みをつくることです。
つまり、副首都は国が特定の地域を拠点として整備するもので、地方分権とは目的や役割が異なります。
なお、法律には副首都とは別に「首都中枢機能代替地域」という区分もあります。
東京と同時に災害の被害を受ける可能性が低く、国が定めた条件を満たす地域です。
災害などの非常時には、東京の首都機能の一部を代わりに担う役割があります。
全部または大部分を担う副首都と、一部を担う代替地域という二段構えになっている点も、この制度の特徴です。

副首都になるには?指定の仕組みと要件を解説
指定までの流れは法律で定められています。
まず、副首都を目指す道府県が国に申し出ます。
内閣総理大臣が要件を満たすと判断すれば指定します。
指定しない場合は、その旨が道府県に通知されます。
指定後に要件を満たさなくなったと認められれば、副首都の意見を聴いたうえで指定が解除されることもあります。
実は、誘致を表明していることと、正式に指定されることは別の段階なんですね。

法律が定める要件は大きく次の四つです。
- 東京圏と同時に被災する可能性が低いこと
- 国の行政機構の立地状況
- 人口と経済の集積
- 副首都の機能を果たすための地方行政体制
ただし、具体的な基準は政令に任されています。
以下の数値は、10月に公表された施行令の案や報道に基づく内容です。(ちょっと難しいですが……)
- 災害面では、首都直下地震の緊急対策区域と富士山の火山災害警戒地域のいずれにも当てはまらないこと。
- 国の出先機関については、地方支分部局が14以上置かれている市町村があること。
- 人口では、国内総人口の1.2%以上を占める政令指定都市があること。
- 経済規模では、道府県内総生産が国内総生産の2.1%以上であること。
要件の数値について、共同通信は次のように伝えています。
具体的な要件は「国内総人口に対する人口の割合が1・2%以上の政令指定都市がある」「国内総生産(GDP)に対する道府県内総生産の割合が2・1%以上」など。行政体制の構築では「政令市を特別区に再編」か「政令市と道府県が連携協約を締結」のいずれかを実行しなければならない。
地方行政体制については、政令指定都市を特別区に再編するか、道府県と政令指定都市が地方自治法に基づく連携協約を結ぶか、いずれかが求められます。
愛知県によると、案では、道府県と政令指定都市が基本的な計画を共同でつくること、都市計画や防災などで連携する事務や役割分担を具体的に定めた連携協約を結ぶこと、副首都の施策を進める内部組織を共同で設けることなどが示されたとされています。

候補地はどこ?北海道・愛知・大阪・福岡の動きを調査
共同通信の報道によると、木原稔官房長官は10月27日の記者会見で、指定を目指す北海道、愛知県、大阪府、福岡県について、政府が定めた要件をすべて満たしていれば4道府県いずれも指定されると説明しました。
人口や経済規模の要件は4道府県とも当てはまり、各地は行政体制の構築を含めて申請の準備を進めているとされています。
現時点で正式に指定された地域はなく、4道府県はいずれも指定を目指して準備している段階です。

報道の原文は次のとおりです。
木原稔官房長官は27日の記者会見で、首都機能を代替する副首都について、指定を目指す北海道、愛知県、大阪府、福岡県は、政府が定めた要件を全て満たしていれば、4道府県いずれも指定されると説明した。
北海道は、施行令の案に対する知事コメントで、札幌市の人口が196万人で全国の1.6%、北海道の総生産が21兆円で全国の3.6%であることを挙げ、その他の要件も満たしているとして
北海道は、副首都の対象となり得るものと考えております
と述べています。
道は、台風や雷、豪雨の日数が少ないことや、首都圏から距離が離れていて同時に被災するリスクが低いことを強みとして挙げ、地震学の研究者や、東京から本社機能を移した企業へのインタビューも公開しています。
いずれも道としての主張です。
行政体制については、札幌市との連携協約の締結を念頭に協議を進めているとしています。
愛知県と名古屋市は、8月に「愛知・名古屋副首都連携協議会」、9月に実務者による連絡調整会議を開き、共同で指定に向けた準備を進めています。
11月1日からは県と市がそれぞれ9人体制で副首都に関する業務にあたり、基本的な計画の作成、連携協約の締結、推進体制の構築などを担当する予定とされています。
大阪では、大阪府と大阪市が2017年3月に副首都ビジョンを策定し、2023年3月に大阪府、大阪市、堺市による改定版がまとめられました。
目指す姿として掲げているのは
平時の日本の成長、非常時の首都機能のバックアップを担う副首都
です。
大阪府は平成23年度から、大阪市は平成29年度から、大阪・関西を首都機能のバックアップエリアに位置づけるよう国に毎年度要望してきたとしています。
福岡県は、東京圏と同時に被災するリスクが低いという地理的な特性と、福岡市・北九州市という二つの政令指定都市を抱える構造を強みとしています。
10月1日に副首都推進室を設け、10月5日には知事が福岡市長、北九州市長とともに副首都整備等推進担当大臣に要望書を提出しました。
県内の市長会と町村会も、指定を目指す方針に賛同する回答を寄せています。
比べてみると、4道府県とも東京圏との同時被災リスクの低さを強調している点では共通していますが、アピールの軸には違いがあります。
| 北海道 | 気象条件と、首都圏からの距離 |
| 愛知県 | 県と名古屋市の共同体制づくり |
| 大阪府 | 長年の副首都ビジョンと、企業のバックアップ拠点づくり |
| 福岡県 | 福岡市・北九州市という二つの政令指定都市による連携 |

なお、各地の交通網や都市機能を同じ基準で比較したデータは、ここでは扱っていません。
副首都が一つに限られるのか、複数になるのかも注目点です。
法律は副首都ごとに整備方針を定めると書いており、北海道は北海道を含む複数が対象となるよう担当大臣に要望したとしています。
先に触れた官房長官の説明は、要件を満たせば複数が指定されうることを示したものです。
候補地同士の関係は競争だけではなく、北海道と大阪府は8月31日に連携協定を結んでいます。
副首都になると何が変わる?国の支援策と「自動では進まない」点を解説
法律は、副首都がその機能を十分に発揮できるよう、国が講じる施策を挙げています。
- 首都中枢機能を代わりに担うための国の機関などの拠点整備
- 交通施設の整備
- 都市機能を高めるまちづくりの推進
- 必要な規制緩和
- 民間投資を促す税制上の措置
- 民間の資金やノウハウの活用
このうち税制上の措置には、民間の事業所が移転する際の投資を後押しするものも含まれています。

基本理念では、副首都の整備を通じて、地域の産業競争力の強化や経済活動の拠点づくり、交通網などの都市基盤の整備、国の機関の拠点整備、周辺自治体との連携を図ることが掲げられています。
副首都が災害時の予備拠点にとどまらず、平時の経済の拠点としても想定されていることがわかります。
ただし、指定されれば自動的に省庁が移ってきたり、新しい鉄道や道路ができたりするわけではありません。 政府はまず、施策全体の基本方針を定める必要があり、そのうえで推進本部が副首都ごとに整備方針をつくります。整備方針には、整備の目標、経済成長に関すること、交通網などの都市基盤、国の機関の拠点整備、周辺自治体との連携といった事項が盛り込まれることになっています。 どの機関の拠点を、どこに、どの程度整備するのかといった具体的な中身は、こうした手続きを経て初めて決まります。

暮らしへの影響は?期待される面と懸念される面
住民にとって気になるのは、副首都になることで仕事や家賃、物価、税金がどう変わるのかという点でしょう。
しかし、給料や家賃、物価、税金がどのくらい変わるのか、現時点では具体的な数字は示されていません。
一方で、副首都になることで、国の機関や企業が集まり、新しい仕事が増えることが期待されています。
また、道路や交通機関などの整備が進めば、暮らしが便利になる可能性もあります。
福岡県も、副首都になることで企業の進出や雇用の増加、交通の利便性向上、災害への備えの強化などが期待できるとしています。
ただし、必ずこうした効果が生まれると決まったわけではありません。
一方で、心配な点もあります。
副首都の整備には費用がかかりますが、どのくらいのお金が必要で、誰が負担するのかはまだ決まっていません。
また、企業や人が集まることで地域が活気づく反面、家賃や物価が上がる可能性も考えられます。
ただし、実際にどの程度上がるのかは、今のところわかっていません。
今後、副首都の整備計画が具体的になるにつれて、住民の暮らしへの影響や費用の負担についても明らかになっていくと考えられます。

副首都の制度は、副首都に指定されていない地域に住む人にも関係があります。
法律では、人口が集中している地域から地方へ移住したい人への情報提供や、地方の大学への支援、新しいビジネスの立ち上げなどを進めるとしています。
こうした取り組みによって、地方で若者が働ける場所を増やすことも目指しています。
また、副首都に指定された地域では、国の機関の整備や企業の移転を後押しする税金面での優遇措置なども考えられています。
つまり、副首都の制度は、東京などへの人口や企業の集中を減らし、地方にも人や仕事を広げていくための取り組みの一つなのです。
災害時、副首都はどんな役割を果たす?
たとえば、首都直下地震が起きて、東京の電車や道路、電気や水道などが使えなくなった場合を考えてみましょう。
国の報告では、東京が大きな被害を受けると、災害対応の指示が出せなくなったり、交通機関が止まって職員が集まれなくなったりするおそれがあると指摘されています。
国の中心となる機能が止まってしまえば、被災地の救助だけでなく、全国の行政サービスや経済活動にも大きな影響が出る可能性があります。
そこで重要になるのが副首都です。
副首都は、災害などで東京が首都としての役割を果たせなくなったときに、その機能の全部または大部分を一時的に引き受ける役割を想定しています。
つまり、東京で大きな災害が起きても、国の重要な仕事を止めないための備えなのです。

大阪府は、東京で大きな災害が起きても、国民の暮らしや経済活動への影響をできるだけ小さくすることが大切だとしています。
想定しているのは、首都直下地震や富士山の噴火、国際情勢の悪化などです。
また、国の機関だけでなく、企業の備えも重要になります。
大阪府は、東京に本社がある企業に対して、災害時に仕事を続けられるよう、大阪や関西にも拠点を置くことを呼びかけています。
法律でも、大きな災害に備えて、企業の拠点を複数の地域に分ける取り組みを進めるとしています。
では、副首都そのものが災害にあった場合はどうなるのでしょうか?
副首都には、東京と同時に大きな被害を受ける可能性が低い地域を選ぶという条件があります。
これは、東京と副首都の両方が同時に機能を失うことを防ぐためです。
ただし、副首都に指定された地域が災害にあった場合、どのように対応するのかについては、現時点で詳しい政府の資料は公表されていません。
そのため、法律では交通や通信の仕組みを複数用意し、副首都とは別に、首都の機能を代わりに担う地域を設けることも想定しています。
つまり、一つの地域だけに頼らず、複数の地域で国の重要な機能を支える仕組みを目指しているのです。

実現への課題と今後は?決まったこと・まだ決まっていないこと
すでに決まっているのは、法律の成立と10月30日の施行、施行令と本部令の閣議決定、そして指定の手続きと要件の枠組みです。
報道によると、政府は施行に合わせて高市早苗首相を本部長とする推進本部を設け、11月中に副首都のあり方に関する基本的な考え方を公表する方針とされています。
法律上、政府は基本方針を定めて公表し、副首都の施策の実施状況を毎年国会に報告しなければなりません。
推進本部と基本的な考え方の公表について、共同通信は次のように伝えています。
政府は30日に関連法を施行し、高市早苗首相を本部長とする推進本部を設置する。11月中には、副首都の在り方に関する基本的な考え方を公表する方針だ。
これから決まることも多く残っています。
どの道府県が申し出て、いつ指定されるのか。
基本方針がいつ、どのような内容でまとまるのか。
副首都ごとの整備方針で、国の機関の拠点や交通網がどこまで整備されるのか。
整備費用がどの程度になるのかも、現時点では示されていません。

候補地側にも課題があります。
行政体制の要件を満たすには、道府県と政令指定都市が連携協約を結ぶか特別区を設置する必要があり、申出には議会の議決も欠かせません。
北海道と札幌市、愛知県と名古屋市、福岡県と福岡市・北九州市は、それぞれ連携の枠組みづくりを進めています。
地域同士が指定を競う一方で、北海道と大阪府のように協定を結ぶ動きもあり、各地の取り組みがどのように進むかが今後の焦点になるといえるでしょう。
副首都法は10月30日に施行され、指定の手続きや要件といった制度の骨格は固まりました。
一方で、どこが指定されるのか、指定後に何が整備され、暮らしにどんな影響が出るのかは、まだこれからです。
副首都は、東京が機能しなくなったときの備えであると同時に、人口や経済の機能をどう国土に配置するかという政策でもあります。
今後は、各道府県による指定の申出、政府の基本方針、副首都ごとの整備方針の中身に注目すると、自分の暮らしとの関わりが見えやすくなります。

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