さらに、気象庁の担当者が「地震学的になかなか厳しい値」と発言したことで、「M9.9はありえないの?」「じゃあ、なんで速報で出たの?」と疑問に思った人も多いのではないでしょうか。
SNSでは「地球が真っ二つになるかと思った」という声も見られました。
M9.9が地震学的に厳しいとされる理由や、実際の地震の規模、気象庁の発言の意味について調べてみました。
M9.9はありえない?気象庁の発言が話題に
2026年10月16日、気象庁は緊急地震速報でマグニチュード9.9という極端な数値が推定された問題について説明しました。
この会見で注目されたのが、気象庁の担当者による次の発言です。
「9.9というのは地震学的になかなか厳しい値だと思う」
この言葉を聞くと、そもそもM9.9という地震は存在しないの?と感じますよね。
ただし、ここで重要なのは、気象庁が「絶対にありえない」と断言したわけではないことです。
「地震学的になかなか厳しい」というのは、地震の仕組みや地球の構造を考えたときに、実現するのが極めて難しいという意味になります。
実際、これまでに観測された世界最大の地震は、1960年にチリで発生したM9.5の地震です。
M9.9は、その記録を大きく上回る規模になります。
そのため、地震に詳しい人ほど、今回の数値に驚いたと考えられます。
気象庁の発言は、M9.9という数字が現実的には極めて考えにくい規模であることを、慎重に説明したものと受け取れます。
M9.9が地震学的に厳しいとされる理由
では、なぜM9.9は地震学的に厳しいとされるのでしょうか。
その理由は、地震を引き起こす断層の大きさと、地球上のプレート境界の構造にあります。
地震の規模を表すマグニチュードは、単純に揺れの強さを示す数字ではありません。
地震そのものの規模を表す指標です。
一般的に、断層が動く面積が広くずれる量が大きいほど、地震の規模も大きくなります。
ここで注目したいのが、マグニチュードの数字が1違うだけで、地震のエネルギーが約32倍になることです。
たとえば、2011年の東北地方太平洋沖地震はM9.0でした。
これに対してM9.9は、エネルギー換算で約22倍になります。
さらに、観測史上最大の1960年にチリで発生したM9.5と比べても約4倍です。
数字だけを見ると、M9.5とM9.9にはわずか0.4の差しかありません。
しかし、実際には非常に大きな違いがあるんですね。
M9.9の地震が発生するには、極めて広い断層面積や大きなずれが必要になります。
M9.9とはどのくらいデカいのか。過去に計算した専門家の資料を見た。断層幅を約200キロ、すべり量を約20mで計算すると、なんと断層の長さは約8800キロとのこと。これはアリューシャン海溝~マリアナ海溝を足した長さ。あくまで計算だけど、デカすぎます。 https://t.co/2x7OBfyqAC
— 藤島新也@災害担当記者🌏 (@shinyahoya) October 16, 2026
例えば、1960年のチリ地震の断層の長さは約1000〜1600km程度とされています。
このため、M9.9の地震が起きるとなると、6000〜1万km規模の断層が一気に動かないといけない計算になるそうです。
ところが、地球上のプレート境界や断層には、長さや幅などの物理的な制約があります。
そのため、M9.9ほどの規模を実現するのは極めて難しいと考えられています。
米国地質調査所(USGS)も、M10以上の地震について、必要な規模の断層が知られていないため、発生し得ないと説明しています。
ただし、これはM9.9が数学的にも物理的にも絶対不可能だと証明された、という意味ではありません。
気象庁の「なかなか厳しい」という表現には、こうした科学的な背景があると考えられます。
関連記事:緊急地震速報のM9.9が本当だったら?千島海溝巨大地震の被害想定と比較
M9.9の地震が起きたら地球はどうなる?
今回の地震速報でSNS上で話題になったのが、「地球が真っ二つになるかと思った」という驚きの声です。
M9.9は地球が割れたかと思いました…。地球で起こり得るのはM10とも言われているので、本当だったら限界値。ちなみに、世界で起きた過去最大の地震はM9.5です。東日本大震災を引き越した巨大地震はM9.0でした。 https://t.co/vJ49TuqJFN
— 藤島新也@災害担当記者🌏 (@shinyahoya) October 16, 2026
確かに、M9.9という数字を見ると、地球全体が壊れてしまうようなイメージを持つかもしれません。
しかし、実際にM9.9の地震が発生したとしても、地球が真っ二つになることはありません。(念のため)
ただし、地球が壊れないからといって、当然ですが被害が小さいというわけではありません。
仮にそのような巨大地震が海底で発生すれば、断層の動き方や海底の変形によっては、大規模な津波が発生する可能性があります。
広い地域で強い揺れが生じ、沿岸部を中心に深刻な被害が出ることも考えられるでしょう。
ただし、被害の範囲や津波の高さは、震源の位置や深さ、断層の動き方によって大きく変わります。
M9.9という数字だけで、具体的な被害を断定することはできません。
関連記事:緊急地震速報はなぜ誤報に?千島列島M9.9表示の原因と真相を調べてみた
M9.9の誤報はなぜ発生した?気象庁の説明
では、今回のM9.9という異常な数値は、なぜ緊急地震速報で発表されてしまったのでしょうか。
2026年10月16日午後0時38分ごろ、カムチャツカ半島付近で実際にM6.9の地震が発生しました。
ところが、気象庁のシステムは地震の規模をM9.9と過大に推定してしまったのです。
さらに、震源を千島列島と判断し、北海道から中部地方にかけて緊急地震速報を発表しました。
一部の地域では最大震度7程度の揺れが予測されましたが、実際に日本国内で観測された最大震度は、北海道函館市の震度1でした。
その後、気象庁は午後0時48分に緊急地震速報を取り消しています。
では、どうしてM6.9がM9.9になってしまったのでしょうか。
気象庁が同日夕方に公表した説明によると、主に二つの問題が確認されています。
- 一つ目は、日本から遠く離れた地震に対して、国内の地震を想定したマグニチュードの計算式を適用したことです。
- 二つ目は、マグニチュードの計算に使った震源と、震度の予測に使った震源の位置が異なっていたことでした。
本来は同じ震源をもとに計算する必要がありますが、今回は異なる地点の情報が使われていたのです。
その結果、地震の規模だけでなく、日本国内で予想される揺れも大きく評価されてしまいました。
気象庁は、今回の問題についてシステムの処理に原因があると説明しています。
一方、なぜ異なる震源が計算に使われたのかなど、詳しい発生経緯については引き続き調査中です。
なお、サイバー攻撃が原因だった可能性については否定しています。
今回の出来事は、実際にM9.9の巨大地震が発生したわけではなく、地震の規模を推定する過程で生じた誤りでした。
とはいえ、緊急地震速報は人命を守るための重要な仕組みです。
今後の原因究明と再発防止策が注目されます。

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