兵庫県が2026年度から、地方債の発行に国の許可が必要となる「起債許可団体」へ移行する見通しとなりました。
「起債許可団体」とは、地方債(自治体の借金)を発行するときに、国の許可が必要になる自治体のことです。
通常、地方自治体が地方債を発行する場合は、国との「協議」を行う仕組みになっています。
一方、財政状況が悪化して実質公債費比率が18%以上になると、地方債の発行にあたって国の許可が必要になります。
背景にあるのは、県の借金返済の負担を示す実質公債費比率の上昇です。
阪神・淡路大震災から続く県債の返済に加え、金利上昇や過去の投資事業などが重なり、財政運営は厳しさを増しています。
では、なぜ兵庫県は起債許可団体になったのでしょうか。原因や財政への影響、前例を調査します。
兵庫県が起債許可団体になった理由
兵庫県が起債許可団体へ移行する大きな理由は、実質公債費比率が18%を超える見込みとなったためです。
実質公債費比率とは、自治体の標準的な収入に対して、借金の返済などにどれだけのお金を充てているのかを示す指標です。
起債許可団体となる基準は18%以上なので、基準を大きく上回る水準となる見込みです。
では、なぜここまで比率が上昇したのでしょうか。
大きな要因の一つが、阪神・淡路大震災の復旧・復興に伴う県債の返済負担です。
兵庫県は震災後の復旧・復興事業などで多額の地方債を発行しており、その返済が長期にわたって財政を圧迫してきました。
さらに、震災関連県債だけでなく、過去の財源対策債などの償還も重なっています。
そこへ近年の金利上昇が加わったことも大きなポイントです。
兵庫県はこれまで、低金利環境の恩恵を受けながら財政運営を続けてきました。
しかし、長期金利が上昇すれば、地方債の利払いなど公債費の負担も増えていきます。
さらに、兵庫県は類似する規模の自治体と比べて、過去に比較的高い水準で投資事業を行ってきたことも要因として挙げています。
道路などのインフラ整備は県民生活を支える重要な事業です。
一方で、公共投資のために地方債を発行すれば、その後は元金や利息を返済していかなければなりません。
つまり今回の問題は、単純に「今年の財政が赤字になった」という話ではありません。
過去から積み重なってきた県債の返済負担に、金利上昇などの環境変化が重なったことが、起債許可団体への移行につながったと考えられます。
起債許可団体になると何が変わる?
「起債許可団体」と聞くと、兵庫県がすぐに財政破綻するのではないかと心配になる人もいるでしょう。
しかし、起債許可団体になったことと財政破綻は同じ意味ではありません。
起債許可団体とは、実質公債費比率が18%以上となるなど、財政状況が一定の基準を超えた自治体です。
地方債を発行する際に国の許可が必要になるため、これまでよりも厳しい財政管理が求められることになります。
兵庫県の場合、今後は公債費負担適正化計画を策定し、借金返済の負担を抑えるための取り組みを進める方針です。
特に影響が出るとみられているのが、道路整備などの投資事業です。
兵庫県は、実質公債費比率を改善するため、公共投資の規模を抑制する方向で検討を進めています。
ただし、公共事業をすべてストップするという意味ではありません。
道路やインフラには老朽化対策や安全確保など、将来的にも必要な事業があります。
そのため、どの事業を優先するのか、実施時期をどうするのかといった「選択と集中」が重要になります。
県も、財政健全化と必要な未来への投資を両立させることを課題として掲げています。
試算によっては早期健全化団体となるリスクも
今後の財政状況にも注意が必要です。
厳しい条件で試算した場合、今後、実質公債費比率が25%を超えて早期健全化団体となるリスクも指摘されています。
早期健全化団体は、起債許可団体よりも一段厳しい状態です。
実質公債費比率が25%以上になると、財政健全化法に基づいて財政健全化計画を策定する必要があります。
ただし、現時点で兵庫県が早期健全化団体になったわけではありません。
県は25%を超えないように、歳入・歳出改革や公共投資の見直しなどを進めています。
そのため、現在の兵庫県については「財政破綻した」と考えるのではなく、財政悪化を食い止められるかが問われている段階と見るのが適切でしょう。
起債許可団体の前例と今後の見通し
兵庫県が起債許可団体になるのは今回が初めてではありません。
過去にも実質公債費比率が基準を超え、起債許可団体となった時期があります。
兵庫県は2006年度から2011年度以来、二度目の起債許可団体となる見通しです。
また、兵庫県だけが特別に経験しているわけでもありません。
2026年時点では、北海道と新潟県が起債許可団体となっており、過去には大阪府や青森県なども該当したとされています。
つまり、起債許可団体になったからといって、そのまま財政破綻へ進むとは限りません。
実際に、過去に起債許可団体となった自治体の中には、その後の財政改革によって基準を下回ったケースもあります。
兵庫県にとって重要なのも、ここからどのように実質公債費比率を引き下げていくか、となります。

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