ところが現在は、スプレー缶の穴あけを不要としている自治体が増えているんです。
2026年10月には、福岡市のマンションでスプレー缶に穴を開けたことによる火災が発生し、あらためて処分方法に注目が集まりました。
昔は必要だったはずの穴あけが、なぜ不要になったのでしょうか?
穴あけルールが変わった時期や理由、過去の火災事例、現在の正しい捨て方について調べてみました。
スプレー缶の穴あけによる火災が後を絶たない
スプレー缶の穴あけやガス抜きが原因の火災は、これまでにも各地で発生しています。
直近では2026年10月19日には、福岡市博多区のマンションで火災が起きました。
福岡市博多区のマンションで火災「スプレー缶に穴を開けたら引火した」 #FBSニュース 👇👇ニュースはこちら👇👇 https://t.co/F2NgjA6QR9
— FBS福岡放送ニュース【公式】 (@FBS_NEWS5) October 19, 2026
報道によると、30代の女性がキッチンで調理中、捨てるためにスプレー缶に穴を開けたところ、引火したということです。
女性は顔や腕などにやけどを負い、病院へ搬送されましたが、命に別条はないと伝えられています。
福岡市では2015年12月からスプレー缶の穴あけが不要になっていたため、今回の事故は、正しい処分方法を知ることの大切さをあらためて考えさせる出来事となりました。
実は、スプレー缶による大きな火災は今回が初めてではありません。
2018年12月には、北海道札幌市でスプレー缶のガス抜きに関連する大規模な爆発事故が発生しました。
【まさか】消臭スプレー120本を室内で処理し 建物ごと吹き飛ばした事故 2018年、北海道札幌市。 アパマンショップの店舗スタッフが 店内で大量の消臭スプレー缶を処理していた。 その数は、約120本。 ■事故の流れ ・店内で消臭スプレー缶を大量に処理 ・室内に可燃性ガスが充満 ・その後、湯沸かし器を点火 ・ガスに引火し大爆発 ・周辺の建物にも大きな被害 ▼事故後 建物は大きく損壊し、 周辺一帯にも被害が広がった。 死者は出なかったものの、 多くの人が負傷する大事故となった。 消臭するはずのスプレーが、 街の一角を吹き飛ばす原因になった。 写真: リアルエコノミー
— 衝撃!事件!瞬間まとめ! (@syogeki_channel) May 5, 2026
不動産仲介店舗で大量の消臭スプレー缶の中身を噴射した後、室内にたまった可燃性ガスに引火したとされています。
この事故では建物が大きく損壊し、多数の負傷者が出ました。
さらに、2019年7月には大阪府高槻市でも、スプレー缶のガス抜き作業中に大規模な爆発火災が発生しています。
【倉庫火災】スプレー缶のガス抜き中に爆発、1人死亡 大阪・高槻 https://t.co/6qcK8qkPou 年齢・性別が不明の1人の遺体が見つかったほか、36歳の男性と13歳の男子中学生を含む3人が全身やけどなどの重傷。 https://t.co/0MqfLzlz1f
— ライブドアニュース (@livedoornews) July 6, 2019
こちらは産業廃棄物処理施設で、大量のスプレー缶のガス抜き作業をしていた際に起きた事故でした。
国民生活センターも、こうした事故を受けて2020年2月20日に注意喚起を行っています。
参考:国民生活センター「スプレー缶製品・カセットボンベによる事故の防止策」
なお、札幌市や高槻市の事故は、今回の福岡市のように穴を開けたこと自体が原因と確認された事例ではありません。
共通しているのは、スプレー缶から出た可燃性ガスが火災につながる危険性です。
スプレー缶には、LPガスなどの燃えやすいガスが使われている製品が少なくありません。
そのため、穴を開けたり、室内で大量にガスを抜いたりすると、周囲に可燃性ガスが広がるおそれがあります。
特に危険なのが、コンロなどの火を使うキッチンです。
国民生活センターの実験でも、シンク内にたまった可燃性ガスがコンロの炎によって引火する様子が確認されています。
目に見えないガスでも、火が近づけば一瞬で燃え広がる可能性があるということですね。
スプレー缶の穴あけはいつから不要になった?
スプレー缶の穴あけが不要になったのは、いつごろからなのでしょうか。
実は、全国一斉に変更されたわけではありません。
自治体によって変更時期が異なり、現在も処分方法に違いがあります。
ただ、全国的な転換点の一つとなったのが2015年(平成27年)です。
参考:環境省「第三次循環型社会形成推進基本計画の第2回点検において課題とされた事項に関する取組について」
このころから、スプレー缶に穴を開けずに処分する方法への見直しが進んでいきました。
背景には、穴あけ作業中の火災や爆発事故を防ぐ必要性がありました。
それ以前にも、穴あけによる事故の危険性は指摘されています。
2014年7月には、国民生活センターがスプレー缶製品の安全性について調査結果を公表しました。
その中では、内容物が残っているスプレー缶に穴を開けると、中身が勢いよく噴き出すことが確認されています。
さらに、消費者の事故防止のため、全国的に穴を開けずに廃棄できるよう、自治体への働きかけを進めることも求めていました。
では、今回火災が発生した福岡市はどうだったのでしょうか。
福岡市のごみ分別ルールでは、平成27年(2015年)12月からスプレー缶の穴あけが不要になっています。
それ以降は、火気のない風通しのよい場所で中身を出し切り、燃えないごみとして処分するルールです。
つまり、2026年10月時点では、福岡市で穴あけ不要になってから約11年が経過していることになります。
一方、札幌市でも2017年7月からスプレー缶の出し方が変更されました。
現在は中身を使い切ったうえで、穴を開けずに透明または半透明の袋に入れ、指定された日に出す仕組みとなっています。
このように、2010年代後半には、各地で穴あけ不要への切り替えが進んでいました。
とはいえ、すべての自治体で同じルールになったわけではありません。
スプレー缶の処分方法は、今でも住んでいる地域のルールを確認する必要があります。
「昔は穴を開けていたのに、いつの間に変わったの?」と感じる人がいるのも、こうした地域ごとの変更時期の違いが関係しているのかもしれません。
昔はスプレー缶の穴あけが必要だった理由
「30年くらい前は、スプレー缶に穴を開けるのが当たり前だった」
そう記憶している方も多いのではないでしょうか。
実際、1990年代には、使用済みのスプレー缶に穴を開けてから捨てるよう指導していた自治体がありました。
では、なぜ昔は穴あけが必要だったのでしょうか。
最大の理由は、ごみ収集車やごみ処理施設での爆発・火災を防ぐためです。
スプレー缶は、内部にガスを封入した構造になっています。
中身が残ったままごみ収集車に入れると、車内で圧縮された際に缶が破損し、ガスが漏れ出す可能性があります。
そのガスに引火すると、火災や爆発につながるおそれがあるのです。
こうした事故を防ぐため、以前はスプレー缶を使い切った後、穴を開けて残ったガスを逃がす方法が採用されていました。
愛知県豊田市の公式サイトにも、以前は収集時の火災事故を防ぐ目的で穴あけを求めていたことが記されています。
また、新潟県上越市では、現在も穴あけを求める理由として、ごみ収集車で缶が圧縮され、漏れたガスに引火する危険性を説明しています。
さらに、穴を開けることで、収集作業員が処理済みの缶だと目視で確認できるという目的もあります。
つまり、昔の穴あけルールは、単なる習慣ではありませんでした。
ごみを安全に収集・処理するための対策だったわけです。
ただし、当時から全国すべての自治体で穴あけが義務づけられていたわけではありません。
千葉県流山市では、1994年ごろには穴あけを指導していましたが、事故防止のため1998年10月から穴を開けない方法に変更しています。
このように、穴あけ不要への見直しは、実は1990年代から一部の地域で始まっていたのです。
昔は安全対策として行われていた穴あけが、今では危険な作業として見直されている。
時代とともに、ごみの処分方法に対する考え方が変わってきたことがわかりますね。
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スプレー缶の穴あけが不要になった背景
スプレー缶の穴あけが不要になった背景には、処分作業そのものの危険性があります。
もともとは、ごみ収集車の火災を防ぐために行われていた穴あけ。
ところが、家庭で穴を開ける際に火災や爆発が発生する事故が問題になったのです。
特に危険なのは、缶の中に可燃性ガスが残っている場合です。
スプレー缶に穴を開けると、残っていたガスや内容物が一気に噴き出すことがあります。
国民生活センターが2014年に実施したテストでも、中身が残ったスプレー缶に穴を開けると、内容物が勢いよく噴出することが確認されました。
もし近くにコンロやストーブなどの火があれば、引火する危険性があります。
また、可燃性ガスの中には空気より重いものがあり、床付近やシンクの中にたまりやすいという特徴もあります。
そのため、室内で作業するのは非常に危険なのです。
こうした事故を防ぐため、国も自治体に対して穴あけ不要への見直しを促してきました。
実は、環境省は2009年度から、スプレー缶などを廃棄する際には穴を開けない方向が望ましいという考え方を周知していました。
そして、2015年6月25日には、穴あけが原因とみられる死亡火災事故が繰り返し発生したことを受け、自治体への周知と対応をあらためて要請しています。
この通知は、穴あけ不要への転換を進める重要なきっかけの一つとなりました。
実際に、その後は各地で処分ルールが変更されています。
例えば、大阪府箕面市では2016年4月、愛知県豊田市では2016年12月から穴あけが不要になりました。
さらに、千葉県柏市では2017年4月、北海道札幌市では同年7月から変更されています。
もう一つ注目したいのが、ガス抜きキャップの存在です。
現在は、残ったガスを排出するための仕組みが付いたスプレー缶も販売されています。
製品の説明に従って使用することで、缶に穴を開けずに残ったガスを出すことができます。
ただし、ガス抜きキャップを使う場合でも、火気のない風通しのよい場所で作業する必要があります。
穴あけ不要になったからといって、ガスを残したまま捨ててよいわけではありません。
家庭での事故を防ぎながら、ごみ収集時の安全も確保する。
その両方を考えた結果、処分ルールの見直しが進んできたのです。
現在のスプレー缶の正しい捨て方と注意点
スプレー缶の捨て方は、この三パターンのどれかが多いです。おはようございます。ゴミ清掃員の滝沢です。 ①穴をあけずに清掃員にわかるように不燃ごみ ②穴をあけて缶資源(あけなくても大丈夫な所もある) ③中身を使い切って危険ごみ 中身を使い切るのはどこも共通しています #ゴミ清掃員の日常
— マシンガンズ滝沢 (@takizawa0914) July 31, 2022
それでは、現在はスプレー缶をどのように捨てればよいのでしょうか。
まず大切なのは、スプレー缶の中身を使い切ることです。
殺虫剤やヘアスプレー、消臭スプレーなどは、使い終わったつもりでも内部にガスが残っている場合があります。
そのため、捨てる前に製品の説明を確認し、中身が残っていないか確かめましょう。
国民生活センターも、2026年5月28日の注意喚起で、スプレー缶の中身を使い切ってから廃棄するよう呼びかけています。
また、ガス抜きキャップが付いている製品は、記載された方法に従って使用することが重要です。
ただし、作業する場所には十分注意してください。
ガス抜きは、必ず火気のない風通しのよい屋外で行うことが基本です。
キッチンや浴室、室内のシンクなどで作業するのは避けましょう。
特にキッチンでは、コンロの火が可燃性ガスに引火する危険性があります。
また、ガスがたまるおそれのある場所や、火花が発生する可能性のある場所も適していません。
では、中身を出し切ったスプレー缶は、何ごみに出せばよいのでしょうか。
これは自治体によって異なります。
例えば、福岡市では中身を空にして、穴を開けずに「燃えないごみ」の指定袋に入れて出します。
一方、札幌市では、穴を開けずに透明または半透明の袋に入れ、「燃やせるごみ」と同じ日に出すルールです。
ただし、札幌市の場合は、燃やせるごみの指定袋に混ぜてはいけません。
さらに、自治体によっては現在も穴あけを求めているところがあります。
そのため、「全国どこでも穴あけ不要」と思い込まないことが大切です。
住んでいる自治体の公式サイトで「スプレー缶 捨て方」と検索すると、詳しい処分方法を確認できます。
また、古いスプレー缶や、故障して中身を出せないスプレー缶にも注意が必要です。
無理に穴を開けたり、缶を分解したりするのは危険です。
そのような場合は、メーカーや自治体の担当窓口に相談しましょう。
実際に札幌市では、中身を使い切れないスプレー缶について、清掃事務所などでの引き取りを案内しています。
昔は穴を開けるのが当たり前だったとしても、現在のルールが同じとは限りません。
今回の福岡市の火災をきっかけに、自宅にあるスプレー缶の処分方法を一度確認しておきたいですね。


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